データ分析で失敗したこと ①ビジネス課題特定

データ分析含む思考作業には、汎用的に使える思考プロセスが存在せず、「視点」を養うしかないと考えています。分析のフェーズ毎に持つべき視点としては、なびなびの過去の失敗から、以下のようなものがあると考えています。

この「失敗したことシリーズ」は、各工程での失敗談を通して、読者の皆様に「視点」のイメージを持っていただくことを狙いとしています。

よりメタな(抽象的な)説明については、「データ分析における視点」シリーズをご覧ください。
→ データ分析における「視点」 a. 企画編
→ データ分析における「視点」 b. 実行編(準備中)

内容

  • ビジネス課題の概要
  • Case1: 小さい課題を選んでしまった
  • Case2: 課題が不適切 ①Whatレイヤーが不明確
  • Case3: 課題が不適切 ②Whereレイヤーが不明確

分析の各フェーズで確認すること

ビジネス課題特定の概要

このフェーズでは、課題を抱えているビジネス上の意思決定を特定します。

例えば、なんらかの資産を売却するタイミングの判断や、調達先・調達量の決定、値付けの決定、新規顧客獲得のためのチャネル選定、顧客活性化施策の対象者・タイミングの決定、などがあげられます。

もっと踏み込んで定義するなら、1. 意思決定と、2. それにより生じる経済的な問題事象、のセットだと考えています。

  • 1. 課題を抱えている意思決定(売却のタイミング、調達量の決定、等)
  • 2. 生じている経済的な問題事象(売却損が発生している、廃棄コストが高い、等)

課題特定の段階をしくじると、如何に後半のフェーズがうまく行こうとも、大した効果が出ないので、すごく重要です。

Case1: 小さい課題を選んでしまった

データ分析を始めたばかりのころ、データがあるかどうか・オペレーションを変えられるかにとらわれて、しょぼい意思決定ばかり選定していました。

例えば、B2Cビジネスにおける「顧客活性化のためのメルマガの配信タイミング・対象者の決定」などです。

所詮メールなので、ほとんどコストはかかっていませんし、なびなびの事例では、メールの開封率がそんなに高くない状況で、配信タイミングを変えたところで、顧客が活性化されるとは思えませんでした。

今となっては、メルマガよりも、プライシングや、店舗の立地が顧客の購買行動に影響を与えているように思えています。

重要な意思決定とは、事業のKFS(Key Factor of Success)や、顧客のKBF(Key Buying Factor)に関連するもの、あるいは、大きなコストがかかっているものだと思います。

ここでの反省は、こういった点を捉えずに、ビジネス課題特定に入ったことでした。

必要な視点

  • 事業のKSF、顧客のKBF、主要コストに関連する意思決定か

Case2: 課題が不適切 ①Whatレイヤーが不明確

前述の、B2Cビジネスでは、顧客の継続率改善のための新規施策創出を目的として分析企画を進めていました。しかし、「どんなアクションを打てそうか」、が決まらないまま案件を進めてしまい残念なことになってしまいました。

分析内容としては、目的変数に継続率を、説明変数に顧客属性・行動や、過去のキャンペーンに関する情報をとって、顧客の継続率改善に効きそうな変数を洗い出す、という試みでした。

アプローチとしては良いのですが、事業サイドとの握りがうまくいかず、アクションの選択肢や制約条件(予算や業務負荷など)が定まらないまま、「とりあえず分析結果が出てから決めようぜ」、と分析を進めてしまったことに問題がありました。

分析結果としては綺麗な示唆が出たのですが、アクションとして実行されたものは、効果の薄い施策のみとなりました。

ここでの反省は、効果的なアクションの仮説(What)が具体的ではない場合、データ分析による価値が発揮しにくいということでした。(このようなケースでは、データ分析よりも、顧客にインタビューをしたり、観察したりデザインシンキング的な考え方をした方が効果が出るように思います。)

以前、Twitterに投稿した内容は、この失敗に基づく課題認識が根底にあります。

必要な視点

  • Where、What、Why、Howのどのレイヤーの課題か?

Case3: 課題が不適切 ②Whereレイヤーが不明確

あるB2Cビジネスで、事業サイドから、「顧客セグメントの見直しをしたい」とオーダーを受けたことがありました。セグメントを切る軸として、収益性の観点で分類したいということでした。

やることが明確だったことと、さくっと片付けて事業サイドからの信頼を得たいという思いがあったことから、分析に着手しようとしたところ、同僚から、「ちょっとまって、これまでの顧客セグメントの問題は何なの?」と指摘を受け、はっとさせられました。

その後、事業サイドに確認をしたところ、以下のことが分かりました。

  • これまでは基本属性別に顧客を管理していた
  • ずっとあるセグメントが稼ぎ頭だったが、最近稼ぎが減ってきている”気がする”
  • 全体売上が減ってきているので、稼ぎ頭を再定義した方が良いと考えている

お気付きでしょうか。そもそも、何で売上が下がっているのか、売上の低下が稼ぎ頭の収益低下によるものなのか、が全く分かっていないのでした。。。

この場合、まずやるべきは、顧客分類ではなく売上減少の原因特定(Where, Why)です。

ここでの反省は、関連する既存の取り組みの状況を把握しておかないと、分析の方針を踏み外してしまうことがあるということでした。

必要な視点

  • Where、What、Why、Howのどのレイヤーの課題か?
  • 既存の取組はうまくいっているか?Noの場合、その根本原因を把握できているか?

最後に

繰り返しになりますが、ビジネス課題特定は非常に重要です。本質はシンプルなんでしょうが、分析フェーズや施策フェーズの実現可能性も考慮した上で、データ分析で効果的に討ち取れるビジネス課題を特定するとなると、相当難易度が上がる気がしています。

意識していないと、実現可能性に引っ張られてビジネス課題のサイズが小さくなりがちなので、私自身が案件を企画する際には、上記の質問を見返すようにしています。少しでも皆さんの案件企画のお役に立てば嬉しいです。

以上!

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