IR情報でデータ活用レベルを見極める方法

この記事は、企業におけるデータ活用の成熟度を、企業の外から見極めたい方(特に、データサイエンティストとして転職を考えている方)に向けて書いています。

  • データ活用をちゃんとやっている企業ってどうやって見抜けばいいの?

この問いに対する私の答えは、以下の通りです。

  • 中期経営計画を見よ(上場企業じゃなかったらごめんね)
  • 中期経営計画で、データ活用が戦略骨子またはそれを実現するための施策レベルで語られていることを確認せよ

その根拠は、1. 企業経営者が株主にコミットする内容が中期経営計画に語られていること、2. 大阪ガスと現職のN=2において正しいと言えること、の2点です笑

根拠が弱いことに加え、大阪ガスの事例は、「Before コロナ」、「Before AIトレンド」というとんでもなく大きなバイアスを含んでいます。それでも、少なくともこの基準を満たしていない企業ではデータ活用なんて進んでるはずがない、という思いでこの記事を公開しました。

根拠1に関しては、前回の投稿で、「役員がコミットしていない企業じゃデータ活用なんて進まねえよ」と紹介したことが前提となっています。当たり前ですが、活動を組織レベルに広げるには、トップダウンの圧力が必要ということです。

根拠2に挙げた2つケースについては、以降で紹介します。

CASE1: 大阪ガス

書籍「最強のデータ分析組織 なぜ大阪ガスは成功したのか」によると、大阪ガスでは2014年頃に役員からの協力が得られるようになり、部門横断での組織的なデータ活用が進み始めたとあります。つまり、2014年頃に”分析力ステージ(≒データ活用レベル)”がレベル2を超えています

分析力ステージについては、前回記事で紹介しましたが、レベル2と3の間を埋めるのが最も困難で、まさに、データ活用有無を判別するラインではないかと考えます。

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中期経営計画におけるデータ活用(DX)の位置付けはというと、これまで取り組みの紹介レベルだったのが、2014年に戦略骨子を実現するための施策(実現施策)に格上げされていました

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大阪ガスの事例から、「中期経営計画において、データ活用の取り組みが、少なくとも実現施策レベル以上で語られていなければ、その企業のデータ活用レベルは高くない(レベル2以下である)こと」、が示唆されます。

CASE2: なびなび(私)の現職

続いて私の現職の状況ですが、組織的な取り組みはされておらず、分析力ステージはレベル2におります。

中期経営計画についても、取り組みが紹介されるレベルであり、「実現施策」や「戦略骨子」のレベルには程遠い状況です。。。

1つ補足すると、私が所属しているのは、形式的には社長直属のデータ活用部門です。ただ実質的にはどうかというと、中期経営計画にも現れていますが、社長は全く関与しておらず、部長職が以下が必死に動いているという状況です。ですので、組織的に動くアプローチを企画しても縦割りの壁を突破できない状況が続いています。

こんな状況下でコロナショックを受けると、何が起こるかは大体想像がつきますよね。日系大企業なので、人員削減とまではいかないですが、残念ながら、予算や活動権限については大幅に縮小される見通しとなっております。

最後に

転職候補先の中期経営計画はちゃんと確認しようね!

次回は、ポテンシャルがありそうな企業をリストアップしてみたいと思います!!

参考資料

以下、参考資料です。余力がある方はどうぞ。

大阪ガス分析組織の年表(なびなび作成)

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大阪ガス年度別の中期経営計画の変遷

2000年

こちらに、アーカイブがありました。しかし、データ利活用に関する記述は皆無でした。

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2006年

こちらもアーカイブです。おっ!ITによる事業・業務革新だ!!

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と、思いましたが、アナリティクスの要素はありませんでした。。。
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2009年

こちらです。この頃から、「サービスサイエンス」として、アナリティクスの要素が現れてきました。しかし、まだ参考情報、といった扱いでしょうか。

2014年

こちらです。「技術によるソリューション&イノベーション」の中の、4本柱の1つに「データアナリシスによる付加価値向上」が位置付けられており(第2レイヤー)、データ利活用の存在感がマネジメントからも認識されているように感じます。

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2017年

こちらです。AIを含むICTという概念が押し出されており、2014年よりも存在感が高まっているように思います。さらに、2014年の中計では、事業基盤の強化のための1手段として「技術によるソリューション&イノベーション」がありましたが、2017年の中計では中期ビジョン実現に向けた8つの取り組みのうちの1つとして、「イノベーション」が位置付けられるようになりました。

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2019年

こちらです。2017年から、中計における「イノベーション」の位置付けは変わりませんが、イノベーション実現の手段として、AIやIoTの位置付けが大きくなっているように見えます(キーワードの登場回数が増加)。

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